どんなプログラム?

 ブラウザを使って簡単に音のスペクトルを観察することができます。以下のような動作画面で、マイクから入力された音の波形・スペクトル・スペクトルの時間変化を観測することができます。PCの主要な最新版のブラウザ(Chrome,Edgeなど)及びAndroidやiPhoneの最新版のブラウザで動作するため、だいたいの環境で動きます。

プログラムの動作画面
プログラムの動作画面

以下は簡単なサンプルです。マイクを備えたパソコン、スマートフォン、タブレット等のデバイスで動かしてみてください。スタート・ストップボタンを押すと、左のグラフに波形、右のグラフにスペクトルが表示されます。マイクのブラウザでの認識方法はこちら(Google Chromeの場合)を参考にしてください。


背景

  現行の学習指導要領では中学理科の「音の性質」で音の3要素(音の大きさ、高さ、音色)を学習しますが、音色に着目することはあまりありません。これは音色を定量的に扱うのがm図うかしいからですが、その中でも音色の性質をよく理解するのに有効な図がスペクトルです。波形に含まれる周波数成分を可視化することで音の特徴をよくとらえることができます。

成分の合成音による波形、スペクトル、スペクトルの時間変化。波形で分からない音色の特徴がスペクトルによって可視化することができる。
成分の合成音による波形、スペクトル、スペクトルの時間変化。波形で分からない音色の特 徴がスペクトルによって可視化することができる。

  このようなツールがあると、中学校・高校でも気軽に音色から音を考える活動を展開を行う事ができます。特にGIGAスクール構想で様々なデジタルデバイスが中学・高校に導入されているため、

を狙いとして、ウェブブラウザで動作しどのデバイス環境でも使えるアプリケーションをつくりました。 授業の演示、探究活動への活用など様々な活用事例があります。

音のスペクトル分析からSTEAM教育・SDGsに関連した様々な学習が可能になる。
音のスペクトル分析からSTEAM教育・SDGsに関連した様々な学習が可能になる。

活用例:母音の分析

母音の音色はフォルマント周波数で特徴づけられることが知られています。フォルマント周波数は母音を発声する際にみられるみられる特徴ピークで、低い周波数からF1,F2,F3...と呼ばれており、このうち

という関係が知られ、この2つの周波数の関係から母音を同定することができます。

1成分のみの音の提出例(左)、および時間変化表示の口笛(中央)と目覚まし(右)。
1成分のみの音の提出例(左)、および時間変化表示の口笛(中央)と目覚まし(右)。

 数はが「あ、い、う、え、お」のスペクトルです。このスペクトルの特徴から逆に母音をあてたりするようなワークを行う事も出来ます。その他にも以下のようなことができるでしょう。

ノイズに近い音の提出例、机をたたく音(左)、ビニール袋をこする(中央)、息を吹きかける(右)
ノイズに近い音の提出例、机をたたく音(左)、ビニール袋をこする(中央)、息を吹きかける(右)

活用例:楽器の分析

  活用事例の1つとして音楽の授業などでの楽器を使った活動と組み合わせるというものがあります。バイオリンを使った探究事例として以下のようなものが挙げられる。

バイオリンのG線、D線、A線、E線による違い
バイオリンは全部で音の高さ事にのG線、D線、A線、E線の4つの弦があります。それぞれ太さや材質も異なるため、音の高さだけでなく音色も異なります。下図のように一番低い音から順番に音階を弾いていきながら使う弦を変えていくと、音程だけでなく音色の違いがスペクトルとして表れていくことが分かります。

バイオリンのG線、D線、A線、E線ごとのスペクトル。G線は芯材の周りにアルミではなく銀線が巻きつけてある構造で他の弦に対して特徴的な太い音がするが、低い周波数領域に特徴的な巣スペクトルとして表れている。D線、A線、E線の順で細くなるが、D線に比べてA線は低い周波数領域の強度が低く、E線はA線にはみられない高周波数領域でのスペクトルがみられる。
バイオリンのG線、D線、A線、E線ごとのスペクトル。G線は芯材の周りにアルミではなく銀線が巻きつけてある構造で他の弦に対して特徴的な太い音がするが、低い周波数領域に特徴的な巣スペクトルとして表れている。D線、A線、E線の順で細くなるが、D線に比べてA線は低い周波数領域の強度が低く、E線はA線にはみられない高周波数領域でのスペクトルがみられる。
バイオリンの弦の種類による違い
 バイオリンの弦は各メーカーによって製造・販売されておりそれぞれ音の性質が異なります。これらの音の特徴がスペクトルから観察できるでしょうか。下図はそれぞれの弦で弾いた音のスペクトルピークを取得し、各倍音成分ごとのスペクトルピークの強度をプロットしたものです。以下、個人的な印象としてDominantは定番の弦で、Alphayueは厚みのある音色、Tonicaはきらびやかなイメージです。それぞれ、Alphayueは2倍・3倍音の比較的低周波数領域で強度が高く、Tonicaは高周波数領域でDominantに比べての強度が大きいです。これらからこういった主観的な音色の印象を考えていくことができるかもしれません。

弦による倍音成分の違い
弦による倍音成分の違い

過去のイベント

ぶらりがく 2019年10月20日

 東北大学理学部主催の科学イベント「ぶらりがく」で小学4年生以上を対象にワークショップを行いました。13名の小中学生が親子同伴で合計24名の参加者が集まり、本アプリケーションを使って自分の声の特徴を調べ、スペクトルの形から何と言っているかに取り組みました。。 詳しくは こちらでレポートされています。
ぶらりがく
ぶらりがくの様子