私たちSakura Particlesは大型加速器CERNでのビーム実験提案ができるBeamline for Schools 2024で採択され、2024年9月からGeVエネルギーのミュオンビームを用いて検出器のテスト実験を行う予定です。

メンバー

松下千穂里

女子学院高等学校

高校2年生

貫輪美博

埼玉県立川越女子高等学校

高卒

澤井愛実

神奈川県立川和高等学校

高校3年生

佐々木柚榎

大阪府立北野高等学校

高校1年生

跡部蒼

順天高等学校

高校2年生

コーチ

河野理夏子

The Australian National University

修士1年

実験概要

開発したのは「手作りの宇宙線イメージング検出器」です。宇宙から降り注ぐ高エネルギーのミュー粒子を使って地球上の大型構造物の内部を透視する技術「ミュオグラフィ1」への応用を目標にしています。一方、ミュオグラフィに用いる検出器は大型で高価なものが多いという課題がありました。その中で、中高生でも組み立て可能な簡易宇宙線イメージング装置をつくりたい、というのが目的になります。

図1はイメージング検出器の内部です。1 cm立方のCsIシンチレータがケース上で2次元アレイ上に並べられています。このケースの上下左右の4箇所にSiPM(シリコン光電子増倍管)という光センサーがあり、 これでシンチレータアレイから発せられた光を検出します。ミュオンがこのブロックの任意の位置に放射線が通過すると、そのブロックが発光します。その光は隣接するブロックを介して上下左右のSiPMで検出されます。ブロックを通過する事に光は減衰するため、近いSiPMには大きな出力が、遠くSiPMには小さな出力が得られることになります。この光量比率から2次元的に位置を再構成することで放射線の位置を特定することができます。

図1. 検出器の構造
図2. 位置検出の仕組み
図3. 検出器の外観

この検出器は高エネルギー加速器研究機構 PF-ARテストビームラインの電子ビームにおいてテストを行い、ビームの位置をとらえられているということが分かりました。さらに、大型加速器CERNでのビーム実験提案ができるBeamline for Schoolsにおいてで私たちSakura Particlesは採択され、2024年9月からGeVエネルギーのミュオンビームを用いて検出器のテスト実験を行う予定です。

進捗

研究計画案

  1. ミュオグラフィは近年注目されている大型構造物のイメージング手法で、宇宙線ミュオンが構造物を通過する際の透過度から構造体の内部を透視します。これまでクフ王のピラミッドの隠し部屋の発見など様々な分野で応用されています ↩︎