ラドン検出器

はじめに

 ラドンはアルファ崩壊をする放射性の希ガスで一般的な環境で気体として存在しています。ラドンはウラン系列核種やトリウム系列核種等様々な放射性物質の放射線壊変によって生じます。例えば岩石や建材などに含まれる微量なウランからラドンは生じるため、歓喜の悪い地下室などでは自然環境に比べてラドン濃度が高いことが知られています。このラドンを測定する簡易検出器の開発が筑波大学の三明康郎特命教授によって行われ、この検出器の中高生探究活動への展開を行っています。


ラドン検出器の構成

 ラドン検出器はシリコン検出器によってα崩壊を測定します。シリコン検出器が設置された缶に対してシリコン検出器を負電圧を印加することで、ラドン崩壊時に生じたポロニウムイオンを回収することができ、このポロニウムのアルファ崩壊を測定することで間接的にラドンを観測することになります。シリコン検出器からの信号は増幅・整形後Arduinoによって波高を取得します。


ラドン検出器の測定データ

 右図はトリウム鉱石のモナズ石をある一定時間の間に測定されたシリコン検出器の波高のヒストグラムです。トリウム系列から生じる220Rnは、220Rn →(α崩壊) 216Po →(α崩壊) 212Pb → 212Bi → 212Po ( →(α崩壊) 208Tl)と崩壊するため、それぞれ216Po、212Bi、212Poのα崩壊が観測できることになります。またこれら3つの崩壊から波高(ch)のエネルギー校正ができることになります。

十分モナズ石を缶に入れて観測した後モナズ石を取り除くと、缶内のラドン濃度が減少するので崩壊後に生じる核種の寿命による検出数の減衰を観測することができます。以下はそれぞれ212Bi、212Poの崩壊αエネルギーに相当する波高の検出数の時間変動をみたものです。

探究事例

ラドン検出器の開発・広瀬川調査

🏫仙台白百合高等学校(👩‍🎓高校2年~)

気体でアルファ崩壊する同位体のラドンを検出できる装置を自分で製作し、広瀬川の上流~下流の石をサンプルとして測定することで地下水の流れ込み方や周囲の岩石のウラン等構成について分析しています。