宇宙線の測定・観測と聞くと難しそうですが、探Qでこの宇宙線探究活動を中高生でもできるデバイスを開発・配布を行ってきており、たくさんの中高生が共同研究に加わっています。現在ではおよそ10校の中高・高専で研究者のサポートを受けて宇宙線検出器の製作・探究活動を行っており、研究会で成果を発表するような高校生もいます。
中高生でも簡単に作ることができるような検出器を開発し、全国の中高生へ配布を行います。また、全国の中高生に活動を知ってもらうために、オンラインや各地方で体験会を行っています。
Slackを用いたオンラインコミュニティとZOOMを用いたビデオセッションを活用することで、全国のどこからでも中高生が研究者と一緒に探究活動ができます。
他国での宇宙線探究プロジェクトと連携することで、国際交流を促進します。例えばアルゼンチンとの共同探究を行う高校生チームがあったり、アメリカの研究者とのディスカッションをする高校生がいたりします。
学会・成果発表
受賞・メディア
宇宙線による人体への被爆の影響の推定
江戸川学園取手高等学校
年間の被ばく線量のうちおよそ0.2 mSvが宇宙線に由来するものと言われています。宇宙線検出器から得られる到来頻度を元に学校付近での宇宙線被ばく総量の推定を試みました。
自宅で検証、高度による宇宙線到来頻度の違い
豊島岡女子学園
宇宙線の検出頻度は高度によって異なり、飛行機などでは何十倍も多く検出されます。これを、高層の自宅(29階)でも地上との有意な差がみえるのではないかという仮説の元行っている探究です。
サイクロトロン加速器施設での陽子エネルギー測定
東桜学館
宇宙開発を中心とした企業による放射線体制試験を東北大CYRICでは陽子ビームを用いて行っています。より柔軟な照射事業を行うために供給している陽子ビームについて様々な条件でエネルギー測定をTime Of Flight法を用いて行いました。
粒子線治療のためのゲル線量計の開発
Waseda University Honjyo Senior High School、Huechulafquen
粒子線治療での線量分布観測を行うゲル線量計の開発を行っています。作成したゲル線量計で分子科学研究所のUVSORにて照射実験を2021年10月に行いました。また、ドイツDESYでの電子ビーム照射を目指しBeamline for Schoolsに応募したりしています。
宇宙線中性子を測定して積雪量を測る
広尾学園・山形東高校
積雪量の測定として宇宙線中性子の透過率を用いる手法があり、一部で既に実用化されています。簡易宇宙線検出器ベースに、販売されている装置の数十分の1のコストで同等の積雪量観測を行う装置の開発を行っています。
CMS実験のデータを解析してヒッグス粒子を探索する
早稲田大学本庄高等学院、東桜学館
IPPOG(International Particle Physics Outreach Group)主催の大型加速器実験CMSのデータ解析ワークショップに参加して、ヒッグス粒子等の粒子再構成を中心とした解析を行い、アメリカ等の研究者と交流しました。
アルゼンチンと日本での共同宇宙線観測
米沢興譲館、東桜学館、Huechulafquen
日本とアルゼンチンの間で宇宙線到来頻度を比較して、地磁気や高度といった地理的条件による違いを分析しています。
ミュオンの寿命測定
米沢興譲館バリオンズ
ミュオンはおよそ2マイクロ秒という短い寿命をもち、一瞬で崩壊してしまいます。宇宙線のミュオンについて実際に寿命を測定し、ミュオンの電荷等による違いを探ろうとしています。
太陽と宇宙線の関係
磐田南高等学校
宇宙線の発生源の1つである太陽の活動と宇宙線の間にどんな関係があるかを調べています。
小型のチェレンコフ光検出器をつくる
豊島岡女子学園(チェレン)
チェレンコフ光とは、荷電粒子が物質中を光速を超えて通過するときに発する光です。宇宙線検出器を改造し、チェレンコフ光を検出する最適な条件を研究しています。
CsIシンチレーターを用いて放射線源を測定する
日比谷高校
CsIシンチレーターを用いて、137Csや60COといった線源の測定をおこなっています。
宇宙線による校舎の天井の厚みの推定
開智高等学校
宇宙線ミュオンの透過力を利用して構造物の内部を透視する技術をミュオグラフィといいます。この原理を応用して、校舎の天井のコンクリート厚さの推定を行いました。
その他の研究事例
東北大学 理学部物理学科4年
東北大学 工学部機械知能・航空工学科4年
東北大学 理学部宇宙地球物理学科4年
東京工業大学 理学院地球惑星科学系修士2年
東北大学 理学部宇宙地球物理学科3年
東北大学 工学研究科量子エネルギー工学専攻修士2年
東北大学 理学部化学科2年
東北大学 医学部保健学科放射線技術科学専攻2年
東北大学 理学部物理系2年
東北大学工学部 電気情報物理工学科2年
電気通信大学 情報理工学域 III類(理工系)1年
東京電機大学 未来科学部1年
東京大学理科一類 1年