01自宅で宇宙線を観測する、学際探究につなげる

宇宙線は宇宙から降り注ぐ高エネルギー粒子です。中には世界最大の加速器の衝突エネルギーを超える宇宙線も飛び交っています。宇宙線を自宅で観測することで、このような高エネルギーを生み出す天文現象、素粒子の性質を探究することができます。宇宙・素粒子だけでなく、医療、気象、地質、歴史といった様々な分野の探究も中高生によって行われています。

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02自分でつくった検出器で、素粒子を捉える

中高生でも自分の検出器を組み立てられる素粒子検出器を無償提供します。自分で組み立てることで仕組みを理解でき、よりアップデートしたオリジナルの検出器の開発を行う中高生もいます。

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03 宇宙線で世界とつながる

世界12か国以上の中高生とつながり、様々な国際共同宇宙線探究が行われています。トビタテ!留学Japanで現地の研究所で実験、日本人初の世界最大大型加速器CERNでのビーム実験なども行われています。

04 加速器で自分のつくった検出器をビームテスト

日本で唯一中高生の加速器実験機会を提供しています。これまで、東北大学RARiS、分子研究所 UVSOR、高エネルギー加速器研究機構、CERN(スイス)J-PARCなど様々な加速器施設で実施しています。

05 国内外の中高生、研究者とつながる

国内外の中高生やアドバイザーの研究者と学会や加速キッチンの集まりで出会いがあります。

👨‍👩‍👧‍👦学会発表リスト 🏆論文・受賞リスト

オリジナル検出器製作例

二次元検出器

放射線の到来方向をとらえるためにシンチレータを5×5の二次元上に配置して上下左右の光センサーで読みだす方式の検出器を作成して、CERN(スイス)でのビーム実験に向けて準備しています。

Sakura Particles

チェレンコフ検出器

簡易宇宙線検出器のシンチレーターをアクリルなどの素材に変更することで、チェレンコフ光を観測できる検出器を自分たちで開発しています。

ラドン検出器

気体でアルファ崩壊する同位体のラドンを検出できる装置を自分で製作し、広瀬川の上流~下流の石をサンプルとして測定することで地下水の流れ込み方や周囲の岩石のウラン等構成について分析しています。

🔗ラドン検出器

探究事例

二次元検出器の開発とCERN(スイス)でのビーム実験

スイスCERNが主催する高校生ビーム実験コンテストBeamline for Schoolsで日本人で初めて採択され、世界最大の加速器施設CERNでの検出器のビームテストを行いました。

Sakura Particles

アメリカの標高3200 mの山で雷雲ガンマ線観測

トビタテ留学プログラムに採択されニューメキシコ州の山にあるLangmuir Laboratoryに雷雲ガンマ線観測用のオリジナルの検出器を設置して、雷放電モニタリングのデータと組み合わせて雷雲ガンマ線を観測しました。

Langmuir Laboratoryで雷雲ガンマ線観測

富士山での宇宙線測定による到来頻度高度依存性評価

富士山の頂上まで登頂しながら宇宙線測定を行い、宇宙線の到来頻度と標高の関係を調べ、頂上では地上に比べて3倍以上宇宙線の到来頻度が多いことを示しました。

ペルチェ式霧箱と放射線検出器を同期した粒子識別

プラスチックシンチレーター検出器の波高分布と放射線種の関係を調べるために、ペルチェ式霧箱と検出器で同期測定を行い、β線と宇宙線ミュオンの分別に成功しました。

陽子線癌治療における線量モニタリング手法の開発

陽子線治療中の体内線量分布のオンラインモニタとして、散乱陽子の測定を検討し、ファントムを用いたテスト測定を東北大学の大型サイクロトロン加速器を用いて行いました。

太陽フレアによる宇宙線への影響

アメリカ気象人工衛星GOESと宇宙線の到来頻度の関係から2024年5月の太陽フレアによる一時的な宇宙線到来の減少を捉えました。

シンチレーション光のイメージング

微小な放射線によるシンチレーション光の汎用カメラでのイメージングを行い、放射線の種類による違いを分析しました。

Time of Flight法による宇宙線の速度

ナノ秒の時間差を測定する宇宙線検出システムを構築して宇宙線の速度をTime of Flight法で測定しています。

古墳ミュオグラフィ

ミュオグラフィアートプロジェクトと共同して造山古墳のミュオグラフィによる透視イメージングの解析に取り組みました。

宇宙線シャワーの観測

4台の検出器の同時観測から宇宙線が金属板に入射することでシャワー状の粒子群が発生することを捉えました。

コンクリートの放射線遮蔽効果の評価

KEK PF-ARの電子ビームを用いて自作のコンクリートの組成によって放射線の遮蔽効果の違いを調べました。

南極掘削船で極地の宇宙線を観測

南極掘削船に検出器を載せて、極地での宇宙線観測から磁場と宇宙線の到来頻度の関係を調べました。

Latitude Dependent Cosmic Ray Measurements Using a Cosmic Watch Detector(ICRC 2025)

Q & A

Q どんなサポートが受けられますか。

A 探究活動の内容に合わせて検出器の貸与や開発の支援を行います。また、大学生・大学院生サポーターがDiscord上でチャットおよび隔週のビデオメンタリング等の探究支援を行います。

Q 費用はどのぐらいかかりますか。

A 三菱みらい育成財団からの助成を受けており、検出器の貸与、探究サポート等を全て無料でおこなっています。

Q 知識がなくても大丈夫ですか。

A 多くの中高生は何も宇宙線の知識がないところからスタートして楽しく探究を行っています。必要なのはオンラインでコミュニケーションを取る積極性と自宅で探究をすすめていく主体性です。

Q 必要なものはありますか。

A 探究に必要な検出器などは提供しますので基本的には必要なものはありませんが、オンラインで探究をサポートするためインターネット環境及びパソコンが必要になります。

Q どのぐらいの期間かかりますか。

A 半年以上を推奨しますが、短いケースでは5ヶ月でテーマ設定から学会発表をおこなった例もあります。逆に3年以上の長期にわたってサポートを受けて腰を据えた探究を行っている事例もあります。学年や状況に合わせてヒアリングをしながら無理のない計画を立てて進めるため概ね柔軟に対応できます。

専門家

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宇宙・素粒子探究活動は随時宇宙・素粒子探究申込みフォームから申込みを受け入れております。

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