PRESS RELEASE 2026年10月19日
加速キッチン合同会社

報道関係各位

加速キッチンが東北大学「澤柳記念DEI賞」を受賞

東北大学の紫色のバックパネルの前で、表彰状を手に並ぶ4人。開かれた表彰状には「第13回澤柳記念DEI賞 加速キッチン合同会社 殿」と記されている
授賞式にて、表彰状を手に。

加速キッチン合同会社(代表:田中香津生)は、東北大学が主催する第13回(2026年度)澤柳記念DEI賞のうち、A賞「澤柳記念DEI賞」を受賞しました。課題名は「視覚障害者・女子中高生に素粒子探究の門戸を開く活動」。性別・障がいの有無・地域・経済状況・国籍といった属性に関わらず、中高生が素粒子研究にアクセスできる環境を整えてきた取り組みが評価されたものです。2026年10月1日には東北大学で授賞式と受賞講演会が開かれ、表彰状をいただきました。

Award
賞名
第13回(2026年度)澤柳記念DEI賞 A賞
課題名
視覚障害者・女子中高生に素粒子探究の門戸を開く活動
受賞者
加速キッチン合同会社
授賞式・
受賞講演会
2026年10月1日(木)10:00〜東北大学 片平北門会館2階 エスパス(仙台市青葉区片平)/Zoom併用のハイブリッド開催
主催
東北大学 ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)推進委員会、DEI推進センター
関連ページ
東北大学DEI推進センター:開催報告(2026年10月19日掲載)
澤柳記念DEI賞について
01 the award

「門戸開放」の理念にちなんだ賞

東北大学は、初代総長・澤柳政太郎が掲げた「門戸開放」の理念のもと、1913年(大正2年)に全国に先駆けて女子に帝国大学の門戸を開きました。澤柳記念DEI賞は、この初代総長の名にちなんだ賞です。東北大学の内外を問わず、アカデミアと社会におけるジェンダー公正を含むダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)の推進に大きく貢献した個人やグループを顕彰し、さらなる発展の一助とすることを目的としています。

賞は2種類あります。DEIに関する研究・活動で特段に優れた成果を挙げた個人またはグループに贈られるA賞(澤柳記念DEI賞)と、若手(42歳以下)の個人、または活動を始めて5年以内のグループに贈られるB賞(澤柳記念DEI奨励賞)です。第13回では、加速キッチンがA賞を、東京大学多様性包摂共創センター准教授の中野 円佳氏がB賞(課題名「編著『日本で女性研究者が増えない理由』の刊行及び東京大学IncluDEでの貢献」)を受賞しました。

02 the citation

5つの活動をひとつの仕組みとして運営している

東北大学の審査講評は、加速キッチンが、これまで限られた大学や研究機関の中で行われ、中高生が手の届かなかった素粒子研究の領域で、属性に依らず中高生が本格的な研究へ地続きに取り組める環境を整えている点を高く評価しています。その土台として挙げられたのが、次の5つの活動を一体で運営していることです。

  1. 中高生個人への素粒子検出器の貸与

    素粒子・宇宙線の検出器を中高生に無料で貸し出し、自宅で測定できるようにしています。これまでの貸出は300台を超えます。探究プログラムの詳細

  2. インクルーシブ素粒子検出器の開発

    筑波大学附属視覚特別支援学校やダイアログ・イン・ザ・ダークの協力のもと「音でエネルギーのわかる宇宙線検出器」を開発し、盲学校で実証授業を行いました。サイエンスアゴラ2026では、霧・電気信号・音・光・振動の5つの方法で宇宙線を感じる展示も行っています。出展レポート・メディア掲載

  3. 中高生と研究者等による共同研究の支援

    高校生チーム「Sakura Particles」の研究は国際学術誌 NIM-A に、佐々木柚榎さんの研究は英国物理学会(IOP)の Physics Education に掲載されました。NIM-A のリリース・Physics Education のリリース

  4. 海外も含む加速器施設での中高生の実験

    2026年6月には、中高生11名が自ら立案した5つのテーマで J-PARC のミュオンビーム実験を実施しました。CERN の Beamline for Schools では、日本人として初めて最優秀賞に選ばれています。J-PARC のリリース

  5. 国際ネットワーク

    2026年7〜8月に、セネガル・ブラジル・アルゼンチン・ドミニカ共和国を訪れ、各地の大学でワークショップを開いて宇宙線検出器6台を設置しました。4か国訪問のリリース

講評はなかでも、視覚・聴覚に障がいのある中高生に素粒子研究の門戸を開く取り組みを「世界的にも独自性が高く特に優れている」としました。あわせて、参加する中高生とメンターの女性比率が約7割という、この領域では稀有の研究コミュニティを実現していること、JpGU2024での発表や査読付き論文誌への投稿といった本格的な学術的成果を挙げていること、そして参加した中高生が進学後にメンターとして戻り、次の世代を支える持続的なしくみができていることも、評価の理由に挙げられています。

03 the ceremony

授賞式・受賞講演会が開かれました

授賞式と受賞講演会は、2026年10月1日(木)の午前10時から、東北大学片平キャンパスの片平北門会館 エスパスで、Zoomによるオンライン参加を併用して行われました。対面とオンラインを合わせて73名が参加したと、東北大学から報告されています。

授賞式のあとの受賞者講演では、加速キッチン代表の田中香津生が「視覚障害者・女子中高生に素粒子探究の門戸を開く活動」と題して講演しました。続いて、B賞を受賞した中野 円佳氏が講演されています。

じつは、中野氏と田中は大学時代に、高校生の東大進学における情報格差をなくす活動「東大ガイダンス」でともに活動した間柄です。そのふたりが、同じ回の澤柳記念DEI賞を並んで受賞することになりました。

2人の男性が、東北大学の紫色のバックパネルの前で、開いた表彰状を両側から持ち、笑顔でカメラに向かっている
表彰状を手に、授賞式にて。
東北大学の紫色のバックパネルの前で撮影した集合写真。前列に椅子に座った5人、後列に立った5人が並び、前列の2人が開いた表彰状を手にしている
授賞式後の記念撮影。
Program
開会挨拶
総長 冨永 悌二 氏
審査経緯の説明
DEI推進委員会 副委員長(総長特別補佐・DEI推進担当) 梅津 理恵 氏
授賞式
A賞:加速キッチン合同会社 代表 田中 香津生
B賞:東京大学多様性包摂共創センター 准教授 中野 円佳 氏
受賞者講演
田中 香津生(加速キッチン)/中野 円佳 氏
閉会挨拶
副学長(ダイバーシティ担当)・DEI推進センター長 田中 真美 氏
04 what's next

これからも、探究の入口を広げていく

今回の受賞は、探究に取り組む中高生、それを支える大学生・大学院生のメンター、保護者や学校の先生がた、そして共同研究や実証授業に協力してくださっている研究機関・団体のみなさまとともに続けてきた活動への評価と受け止めています。心より感謝申し上げます。

加速キッチンは、どんな属性や環境にある中高生にも素粒子・宇宙の探究が開かれていることを目指して、活動を続けていきます。サイエンスアゴラ2026で視覚障害のある来場者から「音以上に感じやすい」との声をいただいた振動による出力の改良など、検出器の「伝わり方」の設計も、今回の評価を励みに進めていきます。出展レポートを読む

05 glossary

用語の説明

Sawayanagi Memorial DEI Award

東北大学が、初代総長・澤柳政太郎の名にちなんで設けた賞。東北大学の内外を問わず、アカデミアと社会におけるジェンダー公正を含むDEIの推進に大きく貢献した個人やグループを顕彰します。DEIに関する研究・活動で特段に優れた成果を挙げた個人・グループに贈られるA賞「澤柳記念DEI賞」と、若手の個人や活動開始から5年以内のグループに贈られるB賞「澤柳記念DEI奨励賞」があります。dei.tohoku.ac.jp

Diversity, Equity & Inclusion

多様性(Diversity)、公正性(Equity)、包摂性(Inclusion)の頭文字をとった言葉。性別や障がいの有無、国籍、経済状況などにかかわらず、だれもが力を発揮できる環境をつくる考え方を指します。

Inclusive Detector

視覚や聴覚の障がいの有無にかかわらず、宇宙線が「来た瞬間」を感じられるように、検出の結果を音・光・振動などの異なる感覚へ置き換えた検出器。加速キッチンでは、音でエネルギーの違いがわかる検出器や、振動で伝える検出器などを開発しています。

Accel Kitchen

加速キッチンは宇宙・素粒子分野を自分たちの力で探究できる世界をつくることを使命として、理工学系や様々な分野の大学生・大学院生を中心として活動しています。この活動は徐々に広がり現在では世界でも最大の素粒子探究ネットワークとなりました。素粒子を測定してその極小の世界の性質を調べたい中高生のために安価で手軽に使える素粒子検出器を配布し、研究者や様々な市民科学プロジェクトと中高生をつなぎ、世界中の研究者や中高生と共同研究をするきっかけを提供しています。accel-kitchen.com

About

加速キッチンについて

加速キッチンは、中高生に素粒子検出器を無料で貸与し、研究機関と連携した宇宙・素粒子の探究活動を支援する組織です。これまで300台超の検出器を貸し出し、200名以上の生徒の探究を支えてきました。参加費は無料です。

For Press

本件に関するお問い合わせ先

  • 加速キッチン合同会社 広報担当:須藤舞子
    TEL:03-4500-0403/E-mail:info@accel-kitchen.com
  • 授賞式の写真のご提供、代表・田中香津生へのインタビュー手配、活動内容に関するご質問にも対応します。